2011/11/13

【12】Charlotte Rampling


【愛の嵐】
シャーロット・ランプリング、
彼女はなんともしれんミステリアスさを優雅なガウンの如く身にまとっている。
若き日の代表作はやはり有名なこのシーンのこの映画。
ユダヤ人としてナチス高官どもの慰み者にされる女が倒錯した愛に堕ちてゆく。
相手役は【ベニスに死す】で名高い名優ダーク・ボガード。渋い!
イタリアの女流監督リリアーナ・カヴァーニ1973年の名作。
退廃美の極致!
収容所時代をナチ高官の愛玩として生き延び、戦後はハイソな奥様となった女は、
ホテルの従業員として隠れるように生きる元高官と再び出会い、破滅への愛を燃え上がらす。
十代の設定でこのシーンを演ずるシャーロットは当時なんと36歳!
この少女のような、熟女のような、老女のようなつかみ所のなさが正にファム・ファタール!



ついベルリン生まれ?とか思ってしまうが、イギリス生まれだった。
これ以上の”かげりのある眼”があったら教えてくれ。
個人的には彼女の口の端っこがすき。その横の笑い皺も。
やっぱ最初はモデルとしてスカウト。お美しい…。
最近キーラ・ナイトレイなんかが彼女ぶってる気がするが、小娘はひっこんでなって感じ。
女優もモデルも段々とはすっぱになっていくのはやはり知性の差か?
ぜったいこの時代の美女の方が外見より内面を磨くことを大事にしていたとおもう。






【評決】ポール・ニューマン主演、シドニー・ルメット監督の名作。
信義を失い堕落しかけた弁護士が再び正義をつらぬこうとする法廷劇。
というと有りがちな映画のようだけどこれはホントにほんもの。
【十二人の怒れる男】や【セルピコ】のルメット監督ですからね!
シャーロットは男が立ち直る支えになる女役。
確かに支えるのだがそれで済まないのがルメット演出の妙。
静かな決意と背信と愛と孤独を体現するシャーロット。
キーラにゃ出来んて。




只今65歳。
ヨーロッパの貴族を思わせるこのたたずまい。
近年はフランスの鬼才フランソワ・オゾン監督とのコラボレーションで
質の高い不思議なミステリー風作品を生み出している。

【スイミング・プール】その一つがこれ。初老の女流作家役。
避暑地の別荘で仕事中の彼女の元へ謎めいた若いあばずれ女がやって来る。
はじめは疎ましがっていた作家はリュディヴィーヌ・サニエ扮するこの奔放なあばずれ女に
新しい創作意欲とエロスをかき立てられていく。
サニエ嬢のたまらん肢体とシャーロットの知性とオゾンの冴えた演出の三つ巴ガチ勝負!
さあアナタは誰が勝ったとする?!




シャーロット・ランプリングが美、歳、タブー、願望、死について
率直に語っていくというドキュメンタリー作品らしい。
日本公開はまだ未定なのかな?
存命中、バリバリ現役中にこういうドキュメンタリーがつくられるということに
彼女の伝説性が現れている。




トップレスで始めたのでシメもトップレスで。
ひかえめに。
スイミング・プールのワンシーン。
冒頭のトップレスショットが36歳で、
コレはなんと57歳!
この美乳で三つ巴勝負はもう決まりですかね。






現役女優では別格の存在。いにしえのローレン・バコールやマレーネ・ディートリッヒなんて大女優たちを思い起こさせる稀有な女優。知性知性としつこいが実際このひと五ヶ国語に堪能なのだ。
他の代表作に巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の【地獄に堕ちた勇者ども】、ハードボイルド映画【さらば愛しき人よ】、ウディ・アレン監督の【スターダスト・メモリー】、日本の巨匠大島渚監督作【マックス・モン・アムール】、オゾン監督の【まぼろし】と何度も観たい作品ばかり。どれも強い生命力と死の影が溶け合ったような彼女の目が印象的。破滅的な役柄が多いが私生活ではたいへん幸せそうなのが伺えてそのへんが本物破滅型のニコとは違う。最新の御姿はラース・フォン・トリアー期待の新作【メランコリア】で拝める!

2011/11/06

【11】Emmanuelle Seigner

【赤い航路】
なんといってもロマン・ポランスキー監督作のこれでしょう。愛と性の地獄めぐり。
「彼女は成熟した女の魅力と少女のような無邪気さを持っていた」このセリフこそファム・ファタールの条件。
そこに更に気品を加えるエマニュエル・セニエ。
た・ま・ん・ね・っす
最初は天使のたたずまいで登場。
無邪気な笑い声、完璧に美しくてエロい肢体。
そしてどんどん変態になっていく。
なのにこの映画の底には深い人間の業と哀しみ、そしてどうしょうもない深い愛が流れている。
悲劇ではあるけれどそんな次元にまで行き着いてしまう二人の男女に言いようのない愛の絆を感じてしまうのだ。

隣は監督のロマン・ポランスキー。そして二人は夫婦なのだ!
ヌードどころじゃないこんな映画に結婚間もないワイフを出演させるのだから、
やはりポランスキーはウディ・アレンと並ぶ変態監督。
ちなみに彼の母親はアウシュビッツ収容所でナチに殺され、
最初の奥さんはチャールズ・マンソン率いるカルト集団に惨殺されている。
つまり人生そのものが並ではない。
つまり変態の格も芸術的次元なのでちゃんと作品に昇華される。
そのワイフはゴダール作品で映画デビューだからやっぱり並の美女ではない。




【フランティック】
これもポランスキー監督作。これで二人は出会って結婚。
悪女じゃなかったけど危うい魅力はあった。



【ナインスゲート】これまたポランスキー作。
悪女じゃなくて悪魔の役。なんだと思うが定かじゃない。
主演のジョニーデップに守護天使のように現れてジョニーを助ける。
人間離れした美しさよ。



【潜水服は蝶の夢を見る】
監督はジュリアン・シュナーベル。もともと画家としてスターだった人。
この作品のエマニュエル・セニエは全く悪女ではない。
まばたき以外の身体自由を失ったELL編集長を献身的に支えた奥さん役。
いい映画。実話。




Femme Fatale(ファム・ファタール/運命の女)とは男を破滅させるような抗いがたい魔性の魅力をそなえた女を指す仏語で、世紀の名盤Velvet Underground & Nicoの同名の曲でも有名。昔から甘くない愛の深淵を描く小説/映画には欠かせない素材。「赤い航路」でのエマニュエル・セニエはまさに運命の女。たいていのファム・ファタールは男を破滅させるが自らも破滅していく。損得ではなく情熱で動くから。だからけして狡くはないのだ。並の悪女ではそこまでいけませんね。
しばらくは女優でと思ったのだがどうも挙げる作品が少なくなりそう。やはり女優は銀幕の悪ではなくて花だからか?それとも悪役ばかりやりたがる女優などいないのか、はたまたそういう女優は実生活でもそうで現場が修羅と化すからなのか…?
確かにこれから挙げていこうと思ってる危うい魅力の女たち、私はリアルに怖い…けど惹かれる!…破滅させられてみたいかも!…ああ、映画でよかった!と思わせられる美女ばかり。ご期待。