2011/07/23

【9】Elias Koteas


【シャッター アイランド】

まぁ悪役と銘打っているからこんなショットを頭にもってくるわけだけど
この方、イライアス・コティーズは絶対いい人だとオレは思ってる。
ディカプリオ扮するFBI捜査官の妄想の中にだけ存在する放火魔役。
2,3分しか画面にでないのに強烈な印象を残すのは
このメイクゆえじゃなくて、周到に計算された印象深い身振りゆえ。
この極悪のルックスでしっぶいなぁと思わせるのがさすが!




【エキゾチカ】
初見はこれだったが印象はむしろ悪かった。
いけすかねぇ…と思った記憶がある。
映画自体はアトム・エゴヤンの素晴らしいデビュー作。
これと、続く【スイートヒアアフター】でエゴヤン監督の透明な哀しみの感性にやられた。
エゴヤンは02年の傑作【アララトの聖母】でもイライアスを起用。
この時はまったく憎らしい役で観る者の怒りを煽る。
当然ながらその怒りがこの作品に流れる深い哀しみを強くあぶり出しているわけだが。






【クラッシュ】
アカデミー賞じゃない方の、いわゆる鬼才クロネンバーグの撮ったクラッシュ。
あっちよりもっともっと奥の人間の深層を引きずり出したもんだから平民には評判悪い。
しかしこの映画、イライアスの独壇場。もうぶっ飛んでる。
なんたって歴史上セレブ死のカークラッシュを我が身で再現することに
生きがいとEcstasyを感じてる男の役だ。
日本でもかつてはこういう高貴な変態虚構作品を若く熱い監督たちが撮って巨匠になっていった。
クロネンバーグもいまや巨匠クラス。このコンビでまた撮ってほしい。

【シン・レッド・ライン】
寡作の巨匠テレンス・マリック作品。
この作品にはショーン・ペンを筆頭に名優たちがギャラ無しでもいい!ぐらいの勢いで集まった。
ひたすらに"美しい"戦争映画。イライアスは部下思いの頼もしい兵士。
いい顔だねぇ!こういうのが風貌、つまり映画の顔なんだよな。




【アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン】
大好きな【青いパパイヤの香り】【シクロ】のトラン・アン・ユン監督ってんで
すごく期待したのにキムタクがまたぶち壊してくれた…とは言いすぎか?
けどあれはどう転んでもテレビの顔、資質を誤解しないでくれ。ただアイドルでいいじゃん。
底なしの闇をさりげな〜くみせるイライアスの演技を見習えといっても無理か…。
しかしイライアス、この完全な狂人にしてアーティストという役が似合うから怖い。




【モールス】
今年の当たり映画【ぼくのエリ 200歳の少女】のハリウッドリメイクに刑事役で登場。
渋いっす!
主演のクロエ・モレッツと。かーわーいーな!


素顔に職人的役者魂とその人の良さがにじみ出てる。
関係ないけど…何故こういう人たちはハゲがにあう?




挙げたものだけでもマーチン・スコセッシ、アトム・エゴヤン、デビッド・クロネンバーグ、テレンス・マリックと名匠の作品が多い。他にもデビッド・フィンチャー、アントワン・フークア、マイケル・ウインターボトム、ブライアン・シンガーと実力ある監督に必要とされる個性派バイプレーヤー。まあプロとはそういうものだろうが作品全体をイメージしてその中で自分の役柄を徹底させる。この人はつまりその徹底の仕方がとても独特で強烈。存在の悲劇と哀愁をニヒルにみせてくれる名優。

0 件のコメント:

コメントを投稿